その冷たい手、温めてあげる。
冬馬は今頃何をしてるんだろ…。
例のあの女子生徒とこのお祭りに来てるのかな…。
ああ、また胸の奥がもやもやする。
冬馬、今年はちゃんと手袋してきたかな…。
「――さん? …未菜さん?」
「えっ、あ、はいっ」
熊田先輩の声に我に返ると、先輩があたしの顔を覗き込んでいるところだった。
「お好み焼き、美味しくなかったかな?」
手元を見ると、膝の上に乗せたパックに詰められたお好み焼きが半分以上も残ったままだった。
屋台が立ち並ぶ賑やかな道に続く神社の境内のベンチで、買い込んだ品を先輩と並んで座り、食べているところだった。