その冷たい手、温めてあげる。
じかに感じる先輩の体温。
あたしは俯いた。
『手袋してたら箸が持ちずらくてやきそばが食えないだろ』
そんなの嘘ばっか。
本当はあたしの体温をじかに感じたくて。
あたしの体温で温めてもらいたくて、変な言い訳までして、手を冷たくしてたくせに。
冬馬の体温よりはあたしの方が高いけど、人並み平熱だってのに、毎年体温を奪うようなことして…。
それでも…
冷たい中にもちゃんと温かさを感じてた。
吉田冬馬という温かさを。