その冷たい手、温めてあげる。
両親が共働きで帰りが遅いあたしを気にかけ毎日家に寄ってくれてたこと。
小さい頃は寂しがるあたしに少しでも寂しくないよう手を握ってくれてたこと。
……バカ…
冬馬があたしの前に全く姿を現さなくなって、声を聞けなくなって…
あたしはずっと――寂しかったんだ。
もやもやの奥に潜んでいた自分。
それはもう二度と冬馬に触れることが出来ないかもしれいと、泣いている自分だった。
あたしの身体はいつの間にか、冬馬なしではいられなくなっていたんだ。
目頭が熱くなる。
こんな大切なことに今頃気付くなんて。
「そろそろ始まるね、花火」
「……」
「未菜さん…?」
「……先輩」
「どうかした?」
掌をギュッと握り締める。