その冷たい手、温めてあげる。
「それからここ」
先輩は自分の眉間に人差し指の先を当てて
「シワ、もう寄せないこと。可愛い顔が台無しになるからね」
はっとして掌で眉間を隠すと、先輩は悪戯っ子のような顔で笑った。
「さ、自分との時間はここまで。未菜さんは行くとこに行かなきゃ」
「先輩…」
「…ん?」
あたしは体ごと先輩に向け
「こんなあたしを好きになってくれて、優しくしてくれて、…ありがとうございました」
頭を下げると、先輩は一瞬悲しそうな表情を浮かべたけれど、すぐに優しい笑顔をくれた。
「こちらこそ、こんな自分と付き合ってくれてありがとう」