その冷たい手、温めてあげる。


あたしは冬馬の両手から手袋をすぽんと取ると、左手だけに赤い手袋を装着する。


そして冬馬の横に並ぶと、外に晒されている冬馬の右手を同じく外に晒されている自分の左手でぎゅっと握り、冬馬のコートのポケットに突っ込んだ。


あたしはにっこり冬馬に微笑みかける。



「ったく、いくぞ」



冬馬は呆れながらもまんざらでもない表情で歩き出した。


相変わらず冷たい冬馬の手。


でもあたしがこの手を離すことはもうない。


だって冬馬だってきっとそれを望んでいるはずだから。



だから、平熱のあたしが


その冷たい手、温めてあげる。





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