その冷たい手、温めてあげる。
「ねぇ、女の子と手繋いで歩いてたんだって? その子あたしより可愛いの?」
「はっ? 女となんて手繋いでないし」
「え、だってアキコが…」
「ああ。そのアキコってのがダンスの課題があるとかで一緒にフォークダンス躍らせろとか言って無理やり繋いできたんだよ」
「え、じゃ手繋いでた子ってアキコだったの?」
「それ以外思い当たらない」
ダンスの課題なんて出た覚えないし…
アキコまさかあたしの不安を煽るために? アキコめ、あとで覚えてなさい!
「で、お前はくまごろうと本当にキスしたの?」
「な、何よ突然。……し、してないわよ」
「なんだよ。俺、くまごろうと間接キスしたと思ってすげぇ凹んでたのに」
「へっ? 何の話?」
「いや、こっちの話」
「何よぉ、気になるじゃない」
「だなら何でもねぇって」
「冬馬、手、すっごい熱持ってるよ」
「……」
「うっそん」
「お前…」
「いひひ。冬馬ってホントはあたしのことすっごい好きだよね?」
「は、そうだよ。文句あるか」
「…な、ないです」
あたしたちはほんのり温かくなったお互いの手を強く、強く握り合った。
【おわり】