いつか会えるね
携帯を開く。

12:30

「佐藤さん、そろそろ帰りますかぁ?」

「そおだねぇ!」

入口の外で、レジにいる佐藤さんを待っていると、正輝くんが出て来た。

「帰っちゃうの?」

「うん?」

そのまま、正輝くんが顔を近づけてきた。

「えっ?なに…?」

顔を背けた。

「何って…。」

なおも、顔を近づけてくる。

正輝くんの手が、私の頬を押さえた。

「冷たいじゃん。もうヤった仲なのに…。」

そんな言い方って…。

「なんで今日冷たいの?」

「そんな事…。」

それ以上、話す事は出来なかった。

合わされた唇。

唇と唇がふれるだけのものだけど…。

「ひどいじゃん。傷ついた…。」

何言ってるんだろう?

あの後、何も連絡もくれなかったくせに…。

「もう佐藤さん来るから…。」


「後で電話する…。」

それだけ言って、正輝くんは店の中に入って行った。


お気に入りのお店が嫌いになりそう…。




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