願い事
私は、
松本莉子(マツモトリコ)、14歳。
母親が家を出て、11年間父親と二人暮らしを続けている。
家族の温もりなど、私の記憶には無い。
恋人など、作れるはずが無かった。
父と母の会話を聞いてれば、恋人を作る気も失せるに決まっている。
友達はみんな、信用などできない。
私の周りの人たちは皆、目を光らせ様子を伺うハイエナみたいな連中だらけで。
マシなのも、一握りだけだ。
『ねえ、君、松本莉子ちゃん…だよねッ!?』
私に話しかけてくるのは、きっと興味本位で。
『そうですけど…』
『おー!2年だよね?同じー!俺、2年C組の高橋裕太って言うんだ。莉子ちゃんはA組だよねっ。』
私に話しかけてくる、同い年の高橋裕太と言う人。
初めて見る、優しい眼差し。