がっこう
序章
あるところに、背が低く、少し太った、お世辞にもかわいいとは言えない女の子がいました。
その子は、運動が苦手、勉強も苦手。

小学校では、男の子にも、女の子にも。

高学年になりました。
友達の1人が、その親の都合で、転校していきました。
女の子からのいじめが増えました。
でもそこには、友達がいました。
たった1人の、彼女も心の中では苦手な女の子でした。

中学校では、女の子にいじめられました。

1年生。
学校に行く格好が、普段着から制服になりました。
見た目や、運動・勉強のことを馬鹿にされました。

2年生。
先輩になり、後輩ができました。
好きな男の子に告白して、フラれたことを馬鹿にされました。

3年生。
もうすぐ卒業、行事の多い学年になりました。
靴に画鋲を3つも入れられ、彼女の足は包帯でぐるぐるになりました。
教科書を破られ、授業が受けられなくなりました。
彼女に優しくした女の子がいました。
その子は、彼女を”友達だ”といいました。

友達は、3ヵ月後にいなくなりました。
自らあの世へ旅立ちました。
いじめが酷くなったのでしょう。

下駄箱の中の靴に、手紙が入っていました。

2年生のときにフラれた、男の子からでした。
字がその男の子よりうまい気もしましたが、気にしませんでした。

”2年生の時、僕は君をフリました。
 その時はなんて言ったらいいかわからなくて、フッテしまったけど…
 好きです。
 今日の放課後、会いたいです。
 屋上に来てくれるとうれしいです。
 でも君は、一度、君をフッている僕を嫌いになっているでしょう?
 でも、僕の気持ちは変わりません。”

うれしくなりました。
放課後が、とても楽しみでした。

放課後、屋上には誰もいませんでした。探しました。
何度も、何度も。

あんまり遅いから、もう帰ったのかと思いました。
手摺から身を乗り出して、通学路を見渡しました。

背中を押される感じがしました。

彼女が最後に見たもの。

夕焼けに染まる街。
自分を見下ろし、ニヤニヤする同級生の女の子。
灰色のアスファルト。
あきらかに自分から出ている、赤く、暖かく、生臭い液体。



白壁の学校。
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