新撰組のヒミツ 壱






「チッ……」


小さな舌打ちをした光は、首を振って脳裏に過ぎる紅い残像を振り切る。


込み上げる激情で張り裂けそうな胸を抑え、常人には見えない程の速さで屯所へと跳ぶ。


――無性に彼の顔を見たくなった。


優しく微笑んでくれる彼の元へ、疾く速く。


そして屯所へと着くと、隊士の目も気にせず、まっしぐらに部屋へと駆け込んだ。


襖を開けるが部屋は灯りが点いていない。つまりは、誰も居なかったのだ。


馬鹿馬鹿しくなって力が抜けてしまい、光はその場にしゃがみ込んでしまった。


すると、急に心臓がズキ……と抉るような痛みが襲い、光は胸を押さえる。


「――――……」
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