新撰組のヒミツ 壱
「――もしかすると、まだ此処に慣れていない貴方に対する配慮かもしれません。要らぬ心配をさせてしまいましたね」
そう言って謝った山南は、光を安心させようとしたのか、柔らかく優しげに微笑んだ。
しばしの沈黙の後、ふいに光が口を開いた。
「あの……監察方の山崎さんはどこに……?」
同室の山崎は、光とは対照的に仕事ばかりをしているように思える。
夜が過ぎて朝方になっても、一日中仕事をして、帰ってこない日すらあるのだ。
この数週間、慣れない場所に唯一の親しい人間が居らず、一抹の寂しさが心を支配していた。
永倉、原田、沖田、斎藤らのような知り合いの組長と話をすることもあった。だが、実は人見知りな光は、なかなか打ち解けられなかったのだ。
(――手持ち無沙汰の私に、少しでも烝の仕事を分けてくれたらいいのに)
と思っていた。
そう言って謝った山南は、光を安心させようとしたのか、柔らかく優しげに微笑んだ。
しばしの沈黙の後、ふいに光が口を開いた。
「あの……監察方の山崎さんはどこに……?」
同室の山崎は、光とは対照的に仕事ばかりをしているように思える。
夜が過ぎて朝方になっても、一日中仕事をして、帰ってこない日すらあるのだ。
この数週間、慣れない場所に唯一の親しい人間が居らず、一抹の寂しさが心を支配していた。
永倉、原田、沖田、斎藤らのような知り合いの組長と話をすることもあった。だが、実は人見知りな光は、なかなか打ち解けられなかったのだ。
(――手持ち無沙汰の私に、少しでも烝の仕事を分けてくれたらいいのに)
と思っていた。