新撰組のヒミツ 壱
「やっぱり光は人気あるんだな……」


「ふふ。そうですねえ」


人気ぶりを見た藤堂は、しみじみと感心するような声を出した。藤堂は少し羨ましそうにしていたが、沖田は楽しげに笑っただけだった。


「……男は顔じゃねえってのに」


「顔もだけど……井岡さんは僕より剣術が強いし、山南さんくらいに頭がきれますよ」


藤堂と沖田は何やら話込んでいるようであったが、光は自分をじっと注視する、とある1人の少女に目を奪われていた。


(あの子は……確か――……)
眉を寄せた光は、斜め上を見上げてあやふやな記憶を手繰り寄せている。そして、何とか名前を思い出すことができた。


「貴女、今田初さんですか?」


「は、はい! 井岡様」
と、少女はコクコクと頷いた。


そう、光の見ていた少女は、数週間前に不逞浪士に絡まれていたところを助けた少女だった。


言い方は悪いが、壬生浪士組――沖田に連れて行かれる原因となったのもこの今田初という少女である。
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