新撰組のヒミツ 壱
初は「座ってお待ち下さい」というと、さっさと奥の方に消えてしまう。
沖田と藤堂が行きたかった場所は知らない。だが、そろって様々な和服を見ているので、問題無いだろう。
二人は、兄弟の様で微笑ましい。
「井岡様」
声のした方を振り返ると、少し太った気立ての良さそうな女将と初が立っていた。
「娘を助けて頂いたと聞きました。心苦しい程ですが、ぜひ御礼をさせて下さい」
「ああ――ありがとうございます」
お気遣いなく、とは言い出せなかった。好みの色は何色か、と問われたため色を言うと、女将は着流しを見繕い始める。
「あの井岡様」
言いづらそうに体を揺らした初が、反物を眺めていた光に声を掛けた。光はにっこりと笑って、初の方に体を向ける。
「何です?」
「不躾かもしれませんが……どういったお仕事をなされているのですか?」
沖田と藤堂が行きたかった場所は知らない。だが、そろって様々な和服を見ているので、問題無いだろう。
二人は、兄弟の様で微笑ましい。
「井岡様」
声のした方を振り返ると、少し太った気立ての良さそうな女将と初が立っていた。
「娘を助けて頂いたと聞きました。心苦しい程ですが、ぜひ御礼をさせて下さい」
「ああ――ありがとうございます」
お気遣いなく、とは言い出せなかった。好みの色は何色か、と問われたため色を言うと、女将は着流しを見繕い始める。
「あの井岡様」
言いづらそうに体を揺らした初が、反物を眺めていた光に声を掛けた。光はにっこりと笑って、初の方に体を向ける。
「何です?」
「不躾かもしれませんが……どういったお仕事をなされているのですか?」