新撰組のヒミツ 壱

亡き師の教え



        ――3――


すっかり慣れた道順で自分の部屋へと戻ると、そこには久しぶりに見た山崎が横になって休んでいた。


「烝」

「……光。久しぶりやな」


起き上がって笑ってみせた山崎は、色濃く疲労が感じられる。無理矢理に笑みを浮かべていることが丸分かりだった。


そんな山崎の様子をまじまじと見た光は、一時言うべき言葉を失い、彼が横になっている布団にゆっくりと近付いて脇に座る。


「……芹沢局長の監視してるって聞いた」
教えてくれなかったことに対する苛立ちを込めてそう言ったが、山崎は気付いていないように小さく笑った。


「さっきまでは、な。局長が屯所に戻ってきたときで任務完了や」


「そう……、なんだ」


何日も屯所に戻らずに、山崎は監視や調査をしていると聞いた。精神的にも肉体的にも疲れている筈なのだが、山崎の口調や声音は達成感に満ちている。


任せられた仕事をやり遂げ、失敗をすることなく完遂したことに、大きな喜びを感じているのだろう。


(……烝……、)


なぜかその様子を目にする、胸が嫌にざわめき、光は唇を強く噛み締めた。



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