新撰組のヒミツ 壱
はぁ……と疲れたような嘆息をついて、布団に横になった山崎は、頭を光の足の上に置いた。つまり、膝枕である。


「……、烝」


「…………もうアカンわ」


柄にもなく光は動揺してしまうが、山崎が本当に疲れたように声を上げるため、抵抗を止めた。


ちょうど温かい枕があった……、というように、下心など何も感じられない。よく見ると山崎には顔色が無く、血色がすこぶる悪かった。



――まあ、仕方無いか。



本当は、誰かに身体を触られることが嫌いだ。しかしながら、すぐに小さな寝息を立て始める山崎を見て、柔らかい小さな微笑を唇に滲ませる。


いつもの軽薄な印象を受ける愛想笑いではなく、少し強張ってはいるが、嘘は無い優しい笑顔だった。


山崎の顔に掛かっていた黒髪を整え、そっと撫でた光は、遠い昔に失った、懐かしい日々に思いを馳せていた。


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