新撰組のヒミツ 壱
決して原田が弱い訳ではない。寧ろ、組長を担っている分、力や技術は平隊士よりも遥かに秀でているのだ。


しかし、沖田の剣技は原田以上の才があり、『見事』の一言に尽きる。見惚れている内に、斬られたことに気付かず死んでしまいそうな程だ。


だが、皆見慣れているのか、今更驚きを露わにする者はいなかった。


「あ!俺と一と八っつぁんは不参加な! 光の実力を見にきただけだから、試合はしないよ」


にっこり笑う藤堂に、無言で頷く斎藤。“八っつぁん”というのは、流れから察するに永倉のあだ名だろう。


――ならば、必然的に光の次の相手は山崎ということになる。


「――光、二刀流だ。やれるな?」


無言で頷くと、山崎は太刀と脇差しと同じ大きさの木刀を持ってきて、その内一組を光に手渡してきた。




動悸がする。

私が烝に勝てるのか……?

二刀流――乱走刀華二刀流。


師の次に強い男。あらゆる流派の技を取り込んだ無敵の流派を身に着けている壬生浪士組最強の男。


< 138 / 341 >

この作品をシェア

pagetop