新撰組のヒミツ 壱
――2――
光は山崎に連れられてそのまま島原の近くまでやってきた。生活に必要な物は何もなく、ただ静かな空間が広がっているだけだけの小屋に入る。
「下男と遊女、光はどっちがええの?」
「私は……下男をしたい」
――そしてその愚かな人斬りを粛清する。
言外に言いたいことが伝わったのか、山崎は一瞬だけ酷く悲しそうな顔をした。
「倒幕派の浪士は、私が討ちたい。討たないといけないんだ。どの浪士が先生の仇か分からないんだから……」
ごめんね。だけどお願い。烝だって先生が殺されて悔しいんでしょう? だから私が仇を討つんだ。
「……分かった、それについては何も言わん。今は、な」
「烝……、」
「師匠が殺されたんは俺かて悔しいけど……お前に苦しんでほしくない。いつか、俺が復讐を止めさせたる」