新撰組のヒミツ 壱
「師匠?」
「通っていた道場の主です……貴方さえ良ければ、少しの間だけでも光と一緒に居てくださいませんか」どうかお願いします、と深く頭を下げる山崎。
土方は、普段、一切頼み事をしない腹心の部下が頭を下げているのを驚きの表情で見ていた。
「……ああ、構わないが」
「ありがとうございます!」
顔を上げ、安堵したように淡い微笑みを零す山崎を見て、土方は複雑な気持ちになった。
(恐らく、山崎は井岡に惚れてやがる。性別は気にしちゃいねえんだろう……だからこそ、想い人と“一緒にいる”事を頼むなんざ……)
土方は同性での恋愛に対して嫌悪感はあまりない。(男色――いわば衆道は、女性に対して禁欲的である坊主の恋愛だったため、神聖な物として考えられていた)
だが勿論、自分の場合ではなく、あくまでも他人のことにおいてだが。
あながち外れてはいない推測をした土方は、何となく表情を消した。無表情の下では、人に頼らない山崎に頼まれたことで、土方は少し照れくさいような気持ちになっていたのだった。
「あ、土方さん、照れてますね!」
「無駄口を叩いている暇があるなら、餓鬼はさっさと寝やがれ」
「通っていた道場の主です……貴方さえ良ければ、少しの間だけでも光と一緒に居てくださいませんか」どうかお願いします、と深く頭を下げる山崎。
土方は、普段、一切頼み事をしない腹心の部下が頭を下げているのを驚きの表情で見ていた。
「……ああ、構わないが」
「ありがとうございます!」
顔を上げ、安堵したように淡い微笑みを零す山崎を見て、土方は複雑な気持ちになった。
(恐らく、山崎は井岡に惚れてやがる。性別は気にしちゃいねえんだろう……だからこそ、想い人と“一緒にいる”事を頼むなんざ……)
土方は同性での恋愛に対して嫌悪感はあまりない。(男色――いわば衆道は、女性に対して禁欲的である坊主の恋愛だったため、神聖な物として考えられていた)
だが勿論、自分の場合ではなく、あくまでも他人のことにおいてだが。
あながち外れてはいない推測をした土方は、何となく表情を消した。無表情の下では、人に頼らない山崎に頼まれたことで、土方は少し照れくさいような気持ちになっていたのだった。
「あ、土方さん、照れてますね!」
「無駄口を叩いている暇があるなら、餓鬼はさっさと寝やがれ」