新撰組のヒミツ 壱
からかってくる沖田に素気なく返し、土方はくっついている光を抱き上げると、少し離れた場所に腰を下ろした。


その時、僅かに複雑そうな目で見てくる山崎と刹那の間、目があった。


元々、山崎は無表情が多い。任務の時や初対面の人間には、怪しまれないように笑顔を作る。


――……本当はもっと感情豊かなんじゃねえのか。嫉妬たぁ、可愛いもんだ。


ばれていないと思っているのか、必死に無表情を貫いている山崎が面白く見え、加虐的な心が湧き上がる。


ちょっとした出来心だ。


「…………井岡、」


さらり、と背中に流れる真っ直ぐな黒髪を指に絡ませた。ふわりと香る、柔らかい髪。光の小さな頭を優しくソッと撫でる。


右手を後頭部から首に掛けて手を滑らせ、左手で細い腰を自分の方に引き寄せた。


――こんな細い身体のどこにあんな強い力があるのだろう。ふとそんな事を思った。


無駄な肉が一切無いから、しなやかで俊敏なあの動きが出来るのだろう。


薄い肩。細い首。
すらりと伸びた長い肢体。


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