新撰組のヒミツ 壱

「……怒っとらん。今日は暑い日やし、それに稽古した後やし……。倒れとるんやないかて、心配したんやぞ」


はぁ……、と気の抜けたような溜め息を吐き、山崎は廊下を歩き始めた。


それを聞いた光は慌てて山崎の背中を追いかけると、隣に並んで歩く。


「あははっ、ありがとう。相変わらずの心配性だな……兄上?」


くすり、と光は笑みを零した。


「……阿保。早よ行くで」


嘘の無い無邪気な光に釣られ、笑みを漏らした山崎は、隣を歩く光の頭を少し乱暴に撫でた。


そう。今日は光と山崎が、京の街へと遊びに行く約束を交わした日だったのだ。


< 201 / 341 >

この作品をシェア

pagetop