新撰組のヒミツ 壱
「よし、ほんなら行こか!」
山崎にだけ向けられるこの笑顔に、彼も同じように心からの笑みを浮かべる。信頼の宿ったその眼を――――決して裏切りたくはなかった。
*
京の街で美味しい田屋(たのや)という甘味処に来ていた山崎たちは、頼んでいたみたらし団子を食べていると、知った顔が正面に座るのを見た。
「非番ですか?……沖田さん」
その人物が誰か分かった山崎が、ポツリとそう口漏らすと、光はみたらし団子を食べようと開けた口を閉じ、目の前に座る沖田さんを見つめた。
山崎は、光の表情と雰囲気が一変したのが分かった。年相応の柔らかいものではなく、不敵な笑みを浮かべた仕事の顔つきになっている。
(……そない警戒せんでもええのに)
人となかなか馴れ合わない光を見た山崎は、重い嘆息を吐いた。自分だけに心を開いている彼女に何とも複雑な心境になる。
「沖田さんでしたか……こんにちは。まさか、このような所でお会いするとは」
にっこりと笑んだ光は、目を細めて沖田を見つめた。やはり、彼女は沖田へ警戒心を抱いているようだ。猫のような彼女は、沖田をじっと注視する。
「あぁ、山崎さんと井岡さんじゃないですかー! 偶然でびっくりしましたよ」
ヘラヘラと笑みを浮かべる沖田の手には、たくさんの餡蜜やら団子やらが、しっかりと握られていたのだった。
山崎にだけ向けられるこの笑顔に、彼も同じように心からの笑みを浮かべる。信頼の宿ったその眼を――――決して裏切りたくはなかった。
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京の街で美味しい田屋(たのや)という甘味処に来ていた山崎たちは、頼んでいたみたらし団子を食べていると、知った顔が正面に座るのを見た。
「非番ですか?……沖田さん」
その人物が誰か分かった山崎が、ポツリとそう口漏らすと、光はみたらし団子を食べようと開けた口を閉じ、目の前に座る沖田さんを見つめた。
山崎は、光の表情と雰囲気が一変したのが分かった。年相応の柔らかいものではなく、不敵な笑みを浮かべた仕事の顔つきになっている。
(……そない警戒せんでもええのに)
人となかなか馴れ合わない光を見た山崎は、重い嘆息を吐いた。自分だけに心を開いている彼女に何とも複雑な心境になる。
「沖田さんでしたか……こんにちは。まさか、このような所でお会いするとは」
にっこりと笑んだ光は、目を細めて沖田を見つめた。やはり、彼女は沖田へ警戒心を抱いているようだ。猫のような彼女は、沖田をじっと注視する。
「あぁ、山崎さんと井岡さんじゃないですかー! 偶然でびっくりしましたよ」
ヘラヘラと笑みを浮かべる沖田の手には、たくさんの餡蜜やら団子やらが、しっかりと握られていたのだった。