新撰組のヒミツ 壱


(何だ、今のは。隊士だろうか……?)


明らかに敵意が込められ視線を不審には思うが、視線の主がいないのであれば確かめようがない。


視線を感じただいたいの位置をぼんやり見るが、隊士らの訝しげな視線が集まっただけであった。


「井岡さん? 置いていきますよー!」


「――すみません。今行きます」


そうだ、気にすることは何もない。後は、“目的”のために、この壬生浪士組に入るだけである。


それだけで全ては上手くいくのだから。




さて、鬼ヶ島に行くか……。




光は喉の奥でククッと笑い、土方の敵意に満ちた顔を思い出していた。





< 42 / 341 >

この作品をシェア

pagetop