新撰組のヒミツ 壱
「単刀直入に聞くが、てめえは何だ?」


「何、と申されますと」


しれっとした表情で冷静に返すと、土方の表情が苛立ちを含んだものに変化した。


「とぼけんじゃねえよ。てめえ程強えやつが、自らここに入りたいなんざ……裏があるとしか思えねえ。長州か? それとも雇われた忍か?」


「つまるところ、土方殿は私を疑っていらっしゃるのですね」


土方とは対照的に作った笑みを貼り付ける光。だが、お互いに一歩も譲らないところは似通っている。


近藤と沖田は2人の会話を見守る形だ。


「私には良からぬ考えはありません。ここに来たのは、全くの偶然なのですから」


心外だ、と呆れたように言う。ちょうどその時、天井から何かが近づいてくるような気配がした。


すぐに気配は薄く霧散したが、光が一度捉えた気配を見失うことは少ない。


まだいる気配がある。だが、ここは気づかない振りをしたほうが無難であろう。土方の追及を逃れづらくなるからだ。

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