新撰組のヒミツ 壱
「……確かに歳の言うとおりだ。井岡くんは監察と歳の手伝いをしてもらおう……すまないな、総司」


「あ、大丈夫ですよ! 井岡さん、たまには一緒に稽古しましょうね?」


「ええ。暇があれば、是非」


近藤の言うことなら、どんなことでも聞くというのが沖田らしい。土方には散々渋っていたのに、意見をすぐに翻した。


光の役職や今後について処遇が決定すると、光は再び天井から、先ほどの霧散した筈の気配を感じ取る。


(……誰だ、先程から天井裏にいるのは)


身じろぎをする気配に不快感を感じる。敵意は感じられないにしろ、ずっと監視されることは、光の趣味ではないのだ。


先程は、光の入隊が曖昧だったため、迂闊な行動を取ることは出来なかった。


(クナイを投げてもいいだろうか……)
懐に感じる冷たく硬い金属を意識する。



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