新撰組のヒミツ 壱
(興味本位で目立ちたくなかったが仕方ない。目の前でこんなことをされては、目覚めが悪いからな……)


やれやれ……、と重い溜め息を吐いた光は「通して下さい」と言い、少々強引に人の垣根を割って円の中心に進み出た。


そのまま浪士と少女の前まで進み出ると、少女の手を掴んでいる浪士の腕を、少し強めに払いのけた。


「な……、何だ貴様っ!」

「大丈夫ですか?」


うるさく叫び立てる浪士を尻目に、光は怯えている少女を引き寄せ、なるべく優しい口調で問いかけた。


体は震えていたが、しっかりとした声で「はい」と答える少女。見る限り捕まれていた手が赤いだけで、怪我はしていないようであった。


これならば大丈夫だろう。


周りの野次馬たちも安心したような声を漏らした。中には、光の取った行動を冷やかすような男や、黄色い声を発する女もいた。


――うるさいな。
内心毒づく光だったが、決してその不快感を表情として表すことはしなかった。


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