新撰組のヒミツ 壱
驚きの余り取り乱している山崎に対し、光も涼しげな目を丸く見開いた。


「……私の流派は無名の筈。ご存知なのですか?」


「知ってるも何も……俺は少しの間そこで忍の稽古……つけて……もらっ――」


しどろもどろにそう言い始める山崎が、光の顔をはっきりと見た瞬間、今度こそ山崎は発する言葉を失う。


近藤、土方、沖田の三名が、何事かという不審げな目で山崎を見据える。だが、山崎はそれどころではなかった。


「……お前(じぶん)、あの光か?!」


それは『何故』や『有り得ない』とでも言うような声音であった。


叫んだ山崎は、顔を覆っていた黒い布を迷いなく素早く外し、光が座っている近くまで歩み寄った。


彼の素顔を間近で見た光も、その目を見開いて、呆然と彼の名前を紡いだ。
「……早道御太郎(ハヤミチミタロウ)……?」


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