新撰組のヒミツ 壱
「怪我が無いようで良かった……。では少し危ないので、貴女は後ろに下がっていてください」
「あ……はい!」
光を見上げて茫然としていた少女は、光の発した言葉にハッとして、何度も勢い良く頷いた。
彼女が人垣のすぐそばまで退避したのを見届けると、「侮辱する気か!」と、未だに何らかの台詞を喚いている浪士を鋭い視線で見据えた。
「さて……取り敢えず、貴方たちは静かにしなさい。周りの方に迷惑が掛かるでしょう」
「何だと?!」
見るからに自分たちより年下である、生意気な子供。その態度に我慢できなくなったのか、浪士達は一斉に抜刀し、光を取り囲んだ。
流血沙汰に発展しそうな展開に、思わず誰もが呼吸をすることすら忘れて凍りついてしまった。
――あの青年は死ぬ、と。
だが――、
(全く、血の気が多い……)
殺意を向けられている当の本人は、不敵な笑みを浮かべ、周りを取り囲む浪士たちに薄く微笑みを投げかけただけだった。
「あ……はい!」
光を見上げて茫然としていた少女は、光の発した言葉にハッとして、何度も勢い良く頷いた。
彼女が人垣のすぐそばまで退避したのを見届けると、「侮辱する気か!」と、未だに何らかの台詞を喚いている浪士を鋭い視線で見据えた。
「さて……取り敢えず、貴方たちは静かにしなさい。周りの方に迷惑が掛かるでしょう」
「何だと?!」
見るからに自分たちより年下である、生意気な子供。その態度に我慢できなくなったのか、浪士達は一斉に抜刀し、光を取り囲んだ。
流血沙汰に発展しそうな展開に、思わず誰もが呼吸をすることすら忘れて凍りついてしまった。
――あの青年は死ぬ、と。
だが――、
(全く、血の気が多い……)
殺意を向けられている当の本人は、不敵な笑みを浮かべ、周りを取り囲む浪士たちに薄く微笑みを投げかけただけだった。