新撰組のヒミツ 壱
鞘に手を添え、ゆっくりと脇差しを水平にスラリと抜く。


浪士は光の存在に気付いていないようだが、人斬りの方は擦れるような金属音で気が付いたようだだった。


「忍の分際で刀とは……武士の猿真似でもするつもりか……?」


「…………私は歴とした侍ですよ」


見栄を張っているのだろうか。馬鹿にしたように言った人斬りは、冷たく吐き捨てた光の動きを捉えることができなかった。


次の瞬間には、喉を切り裂かれていたのだから……。


叫び声を上げることも叶わず、人斬りは呆気なく絶命してしまった。


人斬りと戦っていた浪士は、急なことに逃げることも出来ず、返り血をべったりと浴び、ただ腰を抜かして震えているだけであった。


先程まで戦っていた人斬りは、既に喉笛を切り裂かれて哀れな最期を迎えている。


「た…………たすけっ……!」



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