魔界動乱期
「グレオとラルーを……?てめえ!あいつらをどうした!?」

ジードはそのアバル兵の言葉を聞き、叫ぶように問いかけた。

「寝ているよ。殺してはいけないのでね。だが、ヒューズに用はない。お前は殺しても良いって事だ。殺し専門の俺は少しストレスが溜まっていたからちょうど良い」

そう言うと、アバル兵は再び姿を消す。

「グレオとラルー返せ!」

飛び掛かったジードだったが、既にそこにアバル兵の姿はなかった。

「消えた!?くっ、何の能力だ、ありゃあ!?」

「わからん!だ、だが、突然現れたり姿を消したり……俺の知る限りそんな事が出来る属性は‘霧’だけ……」

「霧って……、それは幻魔獣しか使えねえはずだろ!?」

すると、ジードの死角から槍が伸びる。

「むっ!?」

しかしジードは気配を感じて身を翻しかわした。

「ニコ、お前離れてろ!この状況では同じ場所にいない方が良い!」

「くっ、わかったよ。俺じゃあ足手まといになっちまう」

ニコはその場からやや離れ、戦況を見つめることにした。
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