魔界動乱期
いつ攻めてくるかわからないが、ウルフ軍団にも協力してもらい、ラウドはこの報せを森全体に流す。

森全体に危機感と戦闘の空気が漂う。
しかしながら、森の魔獣達にはある種の期待感や高揚感もあった。

その理由は、この森の誰もが敬い、認める‘森の王’ラウドの参戦に他ならはい。
更には、最近富みに名の知れ始めた森のホープ、ジードの参戦。
森では、あのディナスを倒したのはジードだという噂が流れ、加えてジードがラウドの息子だという事実も知れわたる。

それにより、ジードの存在は魔獣の森でもかなりの注目を集めていた。
次々と参戦の名乗りを挙げる魔獣達。

しかし、その勢いに陰りをもたらす一件があった。
それは、ウルフ軍団と共に森の双璧を為すイグニ軍が不参加の意を表明したのである。

「ラウドよ、先のディナスとの戦いで、我が精鋭、超燕部隊がかなりの打撃を受けてしまった。儂もこの森に移り住んで長い。参加したいが、一族を守る事を最優先にしなければならない。居住場所は魔界を探せばいくらでもあるからな」
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