魔界動乱期
二百二十年ほど前―

「ギガ様!またゼモルを滅ぼしたと……」

当時、ザガンの軍師長であったロイドが王の間に駆け込む。

「この体に流れる血が戦闘を求めるのよ。貴様ら弱小種族にはわかるまい」

ザガンの王、ギガ。
ギガは魔界でも稀少種に区分される雷獣(らいじゅう)という種族で、極めて高い戦闘力と常に戦闘を求める狂暴性を持っている。
顔はライオンに似て、四足歩行。
しかし雷の能力で自由に飛び回る事が出来る。

その雷撃は一瞬で数千の雷を落とし、雷獣だけの特別な能力である雷化(らいか)は、自らを雷と化す事で物理攻撃はおろか、ほとんどの魔法攻撃も受け付けない。

雷獣は遥か昔から‘無敵の雷獣’と言われていた。

「ザガンの弱点は国力のなさです。百ゼモル以上の領土を持ちながら、国力が圧倒的に弱い」

「国力がなくても、私がいればどんな戦争にも勝てる。全ての魔族は私の渇きを潤すために存在するのだ。口出しは許さん」

ロイドはこのギガの言葉に怒りが込み上げるが、覚られないように唇を噛み締めた。
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