魔界動乱期
結果的に彼らを待つのは苦しい重税なのだが、それでも生きてさえいれば未来はある。
ロイドはリュウの肩に手を置き、優しく微笑んだ。

「お前は誰よりも優しい魔族だ。きっといつか必ずそれは皆に伝わる。お前の行動が報われるように、私がお前の行動を意味あるものにしてやる」

「ロイド様……」

気付くとリュウの目からは涙が溢れていた。
自分の考えをわかってくれている者がいた喜び。
そして何よりロイドが、本気でギガ打倒を考えていると伝わってきたからだ。
普通に考えればギガを倒すのは不可能に近い。
だが、ロイドならなんとかしてくれる。
リュウは不思議とそんな期待を抱く。

「この国は内乱が絶えない。国民が、今の苦しみが永遠に続くと考えているからだ。彼らにとって、生きるも死ぬも辛さは変わらないんだ」

まずはその内乱を鎮め、新しい力を蓄える。
そしてその後、特命軍は数多の内乱を鎮める事に成功する。
現場には必ずロイドも出向き、彼らを説得した。

どういうわけか、ロイドの偽りのない心は、想いは、相手にしっかりと伝わるのだ。
その想いを受け取った内乱軍は、皆ロイドに傾倒してゆく。

ギガを倒すとは一切口にしていない。
だが、ロイドならきっとこの辛い現状を変えて明るい未来を築いてくれる。
ロイドと直接話した魔族は皆そんな考えが浮かぶ。
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