魔界動乱期
現れたのは白い法衣を身に纏った美しい女性魔族。

「レンか。カイルはどうした?」

「兄さんは準備してるわ。あの……初めまして。‘ゾーマ’のレンと言います」

ロイドはこのレンという魔族に一瞬心を奪われた。
魔界広しと言えども、レンほど美しい女性はなかなかいない。

「あ、ああ。ザガンの軍師長、ロイドという。ところで、‘ゾーマ’とは種族の名前かい?」

「はい。ゾーマは魔王の魔界統一の裏に暗躍した一族。ゾーマの力なくして魔王の魔界統一はあり得なかったと聞いています」

「なんだって!?そんな話は聞いたことがない!し、しかし、サンタストの結界を考えると、かなりの魔力を秘めているのは確か……」

そしてレンはゾーマについて語り始めた。

ゾーマは、他の種族にはない特別な魔法を使う種族である。
魔王はゾーマを側に置き、ゾーマの魔法から多大な恩恵を受けた。
しかし魔界統一後、ゾーマの力を恐れた魔王はゾーマ一族を皆殺しにする。
実際にはその不穏な動きを敏感に感じとった当時のゾーマは自らの、そしてほとんどの一族の犠牲のもと、二魔の男女のゾーマを逃がした。

そしてその子孫がこの村にいるゾーマなのである。
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