魔界動乱期
「私達の存在が知れれば、きっとまた誰かに利用されるわ。だから私達は誰にも知られず、隠れて暮らす事にしてるの」

「その……ゾーマの力とは何なのだ?」

その問いにフレアが答える。

「魔力増幅の術です。術を受ける者の中には、新たな属性に目覚める者もいます」

「魔力増幅に属性覚醒?そんなバカな話が……!?」

「だから魔王はゾーマを側近に置き、そして恐れたのです。ゾーマの存在は、魔王によって歴史から抹消された」

「た、確かに……。でも、それならなぜ私をここに呼んだのだ?また同じ歴史が繰り返されるかもしれんぞ?」



「それがあなたの運命だからです」



そのとき、レンの後ろから声がした。

「兄さん。準備終わったのね?」

「カイルと言います。ロイド様」

そのカイルと名乗る魔族は丁寧にお辞儀をした。
そしてその目は、全てを見透かしているように、ロイドには思えた。

「カイルとやら、それはどういう……」

「あなたが、真に戦う相手はギガではないという事です。もし今のあなたがギガと戦ったら、きっとあなたは‘滅びる’」

ロイドはこの言葉で確信する。
カイルという魔族が本当に全てをわかっているのだということを。
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