魔界動乱期
「ゾーマの儀は諸刃の剣。それでもあなたは受けますか?」

「失敗すれば、私が耐えてきた数百年が一瞬で無に帰すというわけか」

「そうです」

ロイドの答えは早かった。

「もちろん受ける。それ以外にザガンの未来はない」

ロイドは決意する。
ギガの下で永遠とも思える出口の見えない時間を過ごしてきた。
その時間を、ゾーマの一瞬に凝縮させる。

ロイドはカイルに案内され、カイルの自宅の地下に通された。
床には大きな六芒星が描かれている。
フレアとレンは家の外で待機していた。

「ロイドさん、大丈夫かしら?」

「レン、今日はいつもと違って随分女らしいな。ロイド殿は美男子だしな、ふふっ」

フレアがからかうようにレンに話しかけた。

「な、何言ってんのよ!いつもと一緒だし!でも、何だかロイドさんて……なんか私達と違う。フレアとも。外の魔族って皆ああいう感じなの?」

「ああいう感じ?」

「うまく言えないけど、すごく温かくて、なんだか不思議な魅力があるわ。惹き付けられるような……あ!ま、魔族としてよ!」

フレアはフッと微笑んだ。

「そうだな……、‘ああいう感じ’の魔族は他に見た事がないよ」
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