魔界動乱期
「この付近にはそんなヤツいねえさ。ジードだって強いから大丈夫だって」

ジードには、潜在的な魔力が驚くほど備わっていた。
しかしジードは魔法を使えない。
その事実は九年前に遡る。


九年前―


「ジード、お前もそろそろ自分の属性を把握しておくべきだな」

「え?俺もついに魔法が使えるのかい?」

「通常、属性に目覚めるのは15歳くらいだ。属性のイメージが浮かび上がり、自然と魔法が使えるようになる。だが、これを使えば、目覚める前から自分の属性を把握出来て、魔法を使える時期が早まる」

ラウドは懐から、十センチ四方の白い紙を出した。

「紙?」

「これは‘魔透紙’と言ってな。まずは人差し指と親指でつまむ。そして体内の魔力を指先に集中するんだ」

見本を見せるように、ラウドは言葉どおりの行動をとる。
すると、パリパリッと紙から電流が流れた後、フッと紙が消えた。

「消えた……」
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