魔界動乱期
その魔族はジード。
ジードの情報はアバルにはなかったのだ。
従ってケルゲリオは、同じヒューズのジードを見て少しホッとし、仲間意識を持って話しかけたのである。

「ジード?知らねえなあ。あ、お前も俺と同じで弱い魔獣倒して小銭稼ごうって腹だな?つっても、モルキって弱そうな猿でも三千万だぜ!?三千万つったらお前、豪邸建てても遊んで暮らせる額だ!」

「賞金稼ぎ?でも、こいつがモルキを倒せるとは思えないけどな……」

そう呟きながらケルゲリオの話を聞くジードは、いきなり舞い込んできた情報をもっと詳細に聞こうと試みる。

「えっと、俺はわけもわからずこの森に入っちまってさ。そのこと、詳しく教えてくれよ」

「ええ?お前無謀すぎるだろう?じゃあ仕方ない。このケルゲリオ様が一から教えてやるよ」

ケルゲリオは得意気に語り出す。
そして先日の国営放送の内容を事細かに話し、さらには各魔獣に割り当てられた賞金の内容が記してあるスライドを、空中に映し出して見せた。

「親父が二億。あと妖狐さんも二億か……。やっぱ魔界でも有名なんだな、妖狐さんて。あ、ケルゲリオ、これどうやって動かすんだ?俺にもやらせろよ」

「このボタン押すだろ?で、こうしてこうだよ」

「へえ。ありがとさん、色々教えてくれて」

「へっ、いいって事……ぐっ!てめ……」
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