魔界動乱期
「ルーク、お前の強さは私にも計りきれん。仲間のために戦うときのお前は魔界でもトップクラスだよ」

「そ、そうか?ラウドもそう思うか?はは、わかってねえよな、アバルのヤツら」

「単純だなあ、ルークさんは」

さすがにラウドはルークの扱いをわかっている。
だが、それはラウドの本音でもあった。

「でも、炎駒さんの名前がないんだね」

「この情報は古いんだろ?バジリスクの名前もあるしよ。な、ラウド」

「デグタスのいう通りだ。魔獣の森は干渉されてこなかったからな。それでもこれだけの魔獣の名前が挙がっているのはさすがだな」

「あいつが調べたのかな?」

ジードが言った‘あいつ’とは、先日森に忍び込んだアバル暗軍のクレイの事である。

「いや、お前の話を聞くと、クレイは霧の能力の初歩しか使えていない。きっと身につけて間もないだろう」

「あれで初歩かよ……」

「おそらくアバルは学者を総動員して、それぞれの魔獣の痕跡を調べたんだろうな」

ラウドの解釈は当たっていた。
有名だがパッタリと名前を聞かなくなった魔獣は、大抵この森に居を構える。
戦う相手にも食事にも困らず、そういう意味で居心地が良いからだ。
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