魔界動乱期
「う、うう……」

そのとき、気絶していたケルゲリオが目を覚ました。

「お、ケルゲリオ。悪かったな、手荒な真似してさ。でもお前のためだぜ?あのままじゃモルキに殺されてたよ」

「ジ、ジード、てめえ……あれ?」

ケルゲリオはジード以外の魔獣の姿を見回した。
そしてその表情がみるみるうちに驚きの顔へと変わってゆく。

「あ、あ、あれは……ギルシャルの英雄ラウド!!そ、それだけじゃねえ。あの土色の竜は、さ、最強の傭兵デグタス!そ、それに……」

「へっ、俺がこの森で最大勢力を誇るウルフ軍団のルーク様だと気付いたらしいな」

「……なんかウルフ!!」

「て、てめっ!!」

ルークはやはり魔界では無名だった。

「そこに一億の賞金首として挙げられてるバジリスクはな、俺が一秒でぶっ倒したんだからな!」

「ははっ、またまたあ。バジリスクつったら、かつて東の大陸を恐怖のどん底に陥れた化物ですよ。魔口三万の都市を石の街に変えちまったっていう」

「ケルゲリオ、本当の話さ。このルークさんは魔獣の森の最強集団、ウルフ軍団のボスだよ」

「マジ……?て、ていうかこのメンツに囲まれた俺は……こ、殺され……」

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