魔界動乱期
「消えたように見えるだけで、実際は私がまだつまんでいるよ」

ラウドの属性は雷と、幻魔獣特有の霧の二つである。
霧の属性は、幻影を用いる事により対象物の姿を隠したり、逆に物を生み出したりする。

「さあ、お前もやってみろ」

「うん」

ジードはラウドがやったのと同じように紙をつまみ、意識を指先に集めた。

「んっ……ぐぎぎ……」

「見せてみろ」

ラウドが紙を見てみると、紙は白いまま変化はなかった。

「わずかに白みが薄れているように見えるが……。私の霧属性の影響だろう」


再び現在の高台―


「ジードの秘められた魔力が膨大なゆえに、その使い道がないのが可哀想でな」

「まあ、魔力を発して魔砲として攻撃したり、使い道がないわけじゃねえさ」

「そう……だな」

ラウドは寂しげに微笑んだ。
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