魔界動乱期
アバル、王の間―

そこには王のアバルと、アバルの軍団長ヅェシテ、エージェント協会・現トップのゴルドーが会談を行っていた。

「ケトスとウラノスというエージェントは、Cランクだと聞いたが、大丈夫なのですか?ディナスは魔吸収で今はかなりの力を手にしているはずだ」

「アバル殿、彼らは元トップエージェントであるレイナスの評価基準に反発していたためランクが低いのです。実力的には、そこのヅェシテ将軍と同じくらいの働きはするでしょうな」

ゴルドーの皮肉のこもった自信の発言にも、ヅェシテは余裕の笑みを浮かべている。

「それならば安心だ。報酬の三割は前払い。残りは成功報酬という事で良いですな」

「朗報をお待ちくだされ。では」

ゴルドーが王の間を後にする。
アバルとヅェシテも部屋を出て、城内にある研究所に向かう。

「ヅェシテよ、腹を立ててはいかんぞ。ゴルドーは今のお前の力を知らんのだからな」

「もちろん、心得ております」

そして二魔は研究所のドアを開けた。

「我々がこの女を手にしている限り、アバルの魔界統一は見えている」

アバルが見据えた先には、魔力を使い果たした美しい女性魔族が疲労困憊で膝をついていた。

「はあっ、はあっ、あなたの言う通りにしたわ。さっさと仲間を解放してよ!」

「まあ、まずお前は休んで魔力を回復させよ。……ゾーマのレンよ」
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