魔界動乱期
ジードが高台に戻ったとき、やや離れた場所で激しい轟音が鳴り響いた。

「あの場所は……」

「またマカラとエアレーの縄張り争いだろう」

マカラはクロコダイルを進化させたような魔獣で、ゾウのような鼻がある。
エアレーは水牛の魔獣で、自在に動かせる二本の角が特徴だ。
この二魔は、隣同士に一魔エリアを張っており、年に数度激しい縄張り争いを繰り広げている。

「あの二魔が何度も本気で戦うから、回りには魔獣のエリアがないもんな。巻き添えくわないように」

「ヤツらは決して憎しみ合っているわけではない。互いが互いを越えることを目標にしてるのさ」

「はは、よく一緒に行動してるもんな………あれ?もう終わった?」

たった今起こった異変に、まずラウドが気付く。そしてジードも。

「親父、なんか今、別の魔力が……?」

「うむ」

「ちょっと見てくる!」

「気を付けろよ!」

ジードがエリアに着くと、傷だらけのマカラとエアレーが倒れていた。

「マカラ!エアレー!一体誰にやられたんだ!?」

「ジード……、横で何か光ったと思ったらこのざまだ。ヒューズが二魔……ぐっ!」

「マカラ!」

瀕死の重傷を負ったマカラは、そう言うと意識を失った。

「死ぬな!今、薬草を……、いや、モノケロウスさんのところへ連れて行く!」

ジードは二魔を抱えてモノケロウスのエリアへと飛んだ。
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