魔界動乱期
「ケトス、やりすぎだ。ディナスの事が聞き出せずに気絶してしまった」

「なかなかの魔力を持ったヤツらだったからよ。手加減してたらいけねえ、とな」

「まったくお前は……、ん?あそこに数魔の魔獣が移動している。たいしたヤツらではない。今度こそやりすぎるなよ」

「くくっ、気を付けるぜ!」

ケトスとウラノスが見つけたのはハイエナの集団だった。
二魔はハイエナの移動を妨げるように目の前に姿を現す。

「よう、ちょっと教えてほしいんだけどよ」

「ヒューズ?なんだ貴様ら?」

ハイエナがすぐさま戦闘態勢に入ると、ケトスがその魔力を解放する。

「うおっ!!こ、こいつ……、やべえヤツだ!」

「わかったか?実力の違いが。手荒なことはしねえ。ちょっとディナスってキメラの居場所を聞きてえんだよ」

「へっ?あ、あの、ディナス……ですか?それでしたら教えますとも!ディナスはですね、やられちまいましたよ」

「何!?」

このハイエナの返答にウラノスが身を乗り出した。

「ほ、本当ですって。噂ですけど、やったのはジー……」

「妖狐が蹴散らしたらしいぜ」

ハイエナが答える前に、その後ろから口を挟む者がいた。
皆一斉に声の方向に振り向く。

「あ、あ、あなたは……!待ってました大統領!聞いてくださいよ!こいつら俺達に、いや、この森にケンカ吹っ掛けてきやがったんすよ!やっちゃってください!」

「あん?なんでお前らのために戦わなくちゃいけねえんだ。俺は忙しいんだよ」

「妖狐か、それじゃあ仕方ねえ。なんだウラノス、俺達の一番の目的はもういねえってよ!」

「そのようだな。銀色の隻眼のウルフ……、ケトス、そいつはどうやら八千万の賞金首のルークというやつだ」
< 145 / 432 >

この作品をシェア

pagetop