魔界動乱期
「そうか。なら、残る目的はひとつだな」

ケトスはそう言いながら、刃のない、柄だけの剣を高々とかざし、魔力を込める。
すると、柄の先から光輝く魔力が溢れだし、球状に形成されてゆく。

「なんだありゃ?」

「ふっ、これは魔力を自在に具現化する魔具だ。賞金首狩りで暴れられるぜ!」

ケトスはそれを地面に叩きつけると、砕けた魔力片が無数の刃となってルークに、いや、前方一面に飛び散る。

「なっ!?逃げ場がねえっ!」

ルークは咄嗟に突風を生み出し、前方をガードする。
しかし、スボボボボッと魔力の刃がその風壁を突き抜ける。

「そんなもので防げるか!……むっ、いない!?」

「ケトス、後ろだ!」

神速の動きで回り込んだルークが、ケトスの喉元に牙を突き立てる。

バチィ!

「ぐっ!」

その瞬間ウラノスが鞭状に変化させた魔力でルークの片足を捕らえた。

「なんなんだ、あの道具……うおっ!」

さらにウラノスはそのままルークを地面に叩きつける。

「ぐはっ!」

「ケトス!」

そしてケトスの柄から刀の形をした魔力が、ルークの心臓目掛けて伸びてゆく。

ズドッ、と魔力の刀がルークの身体を貫いた。

「う……ガハッ!!」

大量に吐血するルーク。

「あの瞬間身をよじって急所を外したか!だが、次はない!」
< 146 / 432 >

この作品をシェア

pagetop