魔界動乱期
一方ジードグループでは、それぞれの動きをジードが指示していた。
平均寿命千年の魔族において、十七歳の少年がリーダーを張る集団は稀である。

「今日こそはグレオと決着をつける!副リーダーのニコ、四つ手のゲルとゲラは俺と。他の皆は情報収集と食料調達だ!」

四つ手種族は熊をやや小さくしたような体格に、その名のとおり腕が四本。
ゲルとゲラは最初にジードグループに加わった二魔である。

「ニコ、ジードグループの事はルークさんに言ってないだろうな?」

ジードが、ウルフ軍団ガイの息子であるニコに釘をさす。

「お、おう。もちろんだ」

多少目を泳がせながら、ニコはそう答えた。

「あと、俺がラウドの息子って事もくれぐれも内緒だからな」

「わかってるって」

ジードは自分をラウドの息子ということは皆に内緒にしていた。
自分一魔の力でグループを形成し、まとめる事こそがジードにとって意義のある事だったのだ。
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