魔界動乱期
そしてジードはこの事をラウドに報せた。

「つうことだ。親父が行きたいだろうが……、もう俺の怒りはどうしても収まらねえ!!」

「ルークはお前にとって、もう一魔の親みたいなものだからな。だがな、ジード。今のお前は‘怒り’とうまく向き合えていない。今のままじゃお前が闇に染まるだけだ」

闇に染まる、という言葉を聞いたジードは、ハッと我に帰る。
ラウドの表現はまさに、ジードの中に存在する得体の知れない悪魔の姿を捉えていたからだ。

「親父……だけど、止まらねえんだよ。俺の怒りが……溢れてくるんだ!」

「それとうまく付き合うためにはな、怒りを内に秘め、静かなる闘志として沸き上がらせるんだ。光の意志を持てジード!」

「光の意志……」

「仲間のために強大な敵に立ち向かうお前は、私の誇りだ。止めてもお前は行くだろう。だから、光の意志を忘れるな」

「……わかった。ありがとうな、親父。行ってくる!!」

息子の誇り高い背中をしばらく見つめていたラウドは、自らの腰を上げる。

「さて、私も行くか」

一方、ウラノスとケトスは三千万の賞金首である、マンモスのゼンギラを討ち取ったところであった。

「これで三魔目か。まだまだこれからだぜ、ウラノス!」

「もうそのくらいにして、森を出ていってくれないか?」

「誰だ?」

林の奥からやってくる魔族に、ウラノスとケトスは目を見張った。

「お、お前は……!」

「今出ていけば平和に事を済まそう。しばらくしたら、お前達を躍起になって探し回っている者が来てしまうのでな」

「ラウド!!」

二魔の前に現れた魔族はジードを静かにみおくったラウドであった。
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