魔界動乱期
「アバルが……。ついにこの森の存続を懸けた戦争が始まるんだな」

この後も賞金稼ぎの侵入はしばらく続いたが、森を脅かすような魔族の到来はなかった。

数日後、ユニコーンエリア。

「うん、うめえ!モノケロウス、もっとないのかこれ?」

「ルーク、もう完治してるんじゃないの!?もう、なんでここにいるんだよ。完治したなら自分のエリアに戻ってくれよお」

「くっ、まだ胸の傷が痛むぜ……。あと、肩とか背中とか、目とかよ……」

「目はだいぶ前だろ!足もちゃんと再生したし、はい、もう大丈夫!」

ちなみにルークが左目を失ったとき、モノケロウスはこの森にいなかった。
そして細胞が目を塞いだまま定着したため、ルークの目は再生不可能なのである。

「い、いいじゃねえかよ。エリアに戻ったらボスボスうるせえんだからよ……。それにここにいりゃ、何もせずに美味い飯食えるしな」

ルークはモノケロウスの予想を遥かに越える早さで傷を癒していた。
自ら切断した足も元通りに再生し、自由に動かせるまでになっている。

「元気そうだな、ルーク」

「ルークさん、もうここにいる必要ないんじゃないの?」

そこへやってきたのはラウドとジード。

「まあ、はっきり言って絶好調だな」

「じゃあ早く自分のとこ戻ってよ!」

「安心したよルーク。おそらく、すぐにでもアバルが攻めてくる。ウルフ達には敵の誘導を頼みたい」

「任せろよ!」

二日後、ラウドは戦争の参加表明をしている各集団のボスや一魔エリアの主力を一堂に集め、アバル対策を講じた。

アバルの国軍は八十万。
ラウドの予想では、そのうち森駆逐に割ける戦力は一割程と見ている。
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