魔界動乱期
森の魔獣の数は約五万。
そのうち三万五千程が‘森の軍団’として結束してくれた。

「数は少ないが、一魔一魔の平均戦力では、魔獣の森の軍団はおそらくどこにも負けまい。アバルが八万から十万の軍で攻めてきても、凌げる可能性は十分ある」

しかしラウドには、ひとつ大きな不安要素もあった。

「おそらく戦争の混乱に乗じて、賞金稼ぎの第二波もやってくるはずだ。もしかしたら賞金を山分けするために徒党を組んでくる可能性もある。その数は不確定」

この事を予測していたラウドがなぜウラノスとケトスを見逃したのか。
それには理由があった。

「もしあそこであの二魔を始末していたら、それを名目に更に多くのエージェントが乗り込んでくる恐れがあった。だが見逃していれば、乗り込んでくるのはあの二魔のみだ。それに……」

その頃、ウルフのエリア。

「アバル軍はもういつ来てもおかしくねえ!森の入口は俺達ウルフが見張りにつく!ガイ、この戦争の序盤はお前の働きにかかっている。頼んだぞ!」

「任せてください、ボス!」

「よし、じゃあ早速配置につくんだ!……ウラノスとケトスとか言ったな。あいつらこの戦争に乗っかって、きっとまた来る。そんときは、必ず俺が仕止めてやるぜ……!」

再び高台―

ラウドは先程の言葉の続きを口にする。

「それに、親友には花を持たせてやらんとな」

「親父!この戦い、俺は暴れるからな!」

「ふっ、あと息子にもな」

森の運命を懸けた大きな戦いの幕開けが、すぐそこまで迫ってきていた。
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