魔界動乱期

アバル―

「今度こそ、もう終わりよ……」

研究所では、レンが更に多くの魔族に対してゾーマの力を強要されていた。

「全ての師団長、副師団長にゾーマの儀が完了したか。レン、よくやってくれた」

「暴走しても知らないわよ。ほとんどの魔族が前よりも凶暴化してるわ。ねえ、もういいでしょ！私はこんなところ早く出たいの！仲間と一緒に村へ帰して！」

「そうだな……。では休んだ後に、各小隊の隊長達にゾーマを施してもらおうかの」

「なっ！？約束が違うわ！あなた、最初からそのつもりだったのね！」

わめきたてるレンの前に軍団長のヅェシテが立ちはだかる。

「口を慎め。今のお前は魔力を使い果たしたただの女だ。なんなら魔力を回復するまで、ゾーマとしてでなく‘女’としての使い途も考えておいてやるか」

「な、なんですって……」

脅しなのか本気なのか判断のつかないヅェシテの言葉を聞いたレンは、思わず身をすくめる。

「ふふ、ヅェシテよ、そう脅かすな。しかし確かにそれも良い余興。ふふ……。おい！」

アバルの指示を受けた兵士が、無理矢理レンを立たせて監禁部屋へと連れて行く。
そしてレンをベッドの上に叩き付けた。

「な、何する気……！？」

「安心しろ。お前を部屋から出ないように見張っているだけだ」

兵士は部屋を出て、外から鍵をかけた。

「もうこんなの嫌……。助けてロイドさん、兄さん……。誰か、助けて！」