魔界動乱期

「魔獣の森などに身を墜としたとは言え、仮にもあの‘四麒麟'のうちの一魔。そういった者を確実に葬り去るのが暗軍の仕事ですから」

「確実に、か…。確かにお前くらいの魔力があれば、そんな大口も叩きたくなるだろうな」

炎駒は少し笑みを浮かべながら話した。
その余裕の表情が勘に触ったのか、ザグレブは語気を強めた。

「‘軽口'のつもりだったのですがね。まあ口論しても仕方がない。あなたはもう死になさい！」

ザグレブがそう言うと、周りの木々や植物達が意思を持ったように炎駒に襲いかかってきた。
折れた木の枝は鋭い槍となり、植物はしなる鞭となり、魔力を込められ頑丈になった森の木々達が唸りを上げる。

「‘木'の能力者か…」

炎駒は避けようともしない。

「ははは、逃げ道などないぞ！死ね！」

しかしザグレブの思惑は外れ、炎駒は自らを‘炎化'し、その凄まじい熱量で木々達を消しさった。

「何！？私の魔力で鋼と化した木々を…！」